バンクーバー遠征

0日目

0300出発のため前日2200過ぎには寝ておこうと思ったが寝られず,どうせ飛行機なりバスで寝られるんだしと割りきる.

今回バンクーバーへ向かった団体の内一人が飛行機に乗り遅れる.彼は常習犯なので予想していないわけではなかった.頑張って向かってくれ.

ユナイテッドで IAD から SEA へ.到着時間は11時少し前.飛行機から降りると何と例の遅刻犯がゲートで待っているではないか!
→彼曰くシカゴを経由してきたという.確かに西 (ワシントン) に向かうのに一旦南 (ワシントンDC) へ向かう必要は無いわな.

1300バスで空港を出発.土曜日だというのにシアトル市街でものすごい渋滞を喰らう.結局スペースニードルの周りを1時間ぐるぐる.本格的に北へ向かったのは1430くらいかな.3時間後にカナダ国境へ.

陸路での越境は5月のノバスコシア以来,二度目.バスの4割方が同じGSA参加者で軽い談笑に.入国管理官からも「あー例のジオロジーね」と言われる.過去21日の間に西アフリカに滞在していなかったかどうかだけ訊かれてそのままゴー.
→陸路だとパスポートにハンコを押してくれないので悲しい.

当初の予想に反して,バンクーバー市街へ着いたのは日が暮れてからだった.同じ大陸なのに丸一日が移動日となった.この日はホテルから3分のラーメン屋さんで久しぶりに日本食を賞味.ご馳走様でした.

1日目

0700に地下鉄で Vancouver Convention Center へ向かう.皆プログラムをもらって行きたいセッションを確認してるので私も手早く受付を済ませようと思ったら,おねえさんから850ページ超の鈍器プログラムとアブストラクトを渡される.
→この分厚い本が紙媒体として残されるのは今年が最後らしい.来年は iPhone App とか PDF で見てねとのこと.これが時代の流れ…
→早起き組の学生さんたちには会場で朝ごはんのビュッフェが振る舞われる.会場の大きさと窓からの景色に感動しつつセッションとポスターのチェック.学会に関することは後の気づいたことで全部まとめてあります.

2日目

夜は大学の関係者+OB合計20人で近場のアメリカンなレストランへ.学生にとって学会はコネクションを創る機会であって業績発表ははおまけ

3日目

ポスターセッションが面白そうだったので散歩も兼ねて歩きまわる.日本人参加者と何人かご挨拶.

4日目

発表当日.ポスター発表者6人が全員集まってもあまり効率が良くないのでローテーションで立つことに.0900から1200までと1700から1830まで.途中花粉や種の学名と通名がわからなくなり生物学専攻の同僚に助けてもらう.途中Palynology学会の偉い人がやってきてTwitterに写真を晒される.同時に同輩からあんたの説明は長々してるとお叱りを頂く.むう…

昼ごはんに抜け出して 森林公園と吊り橋へ.吊り橋は満員電車の中で立ってるような感じで,楽しいが揺れる揺れる.すれ違う人の何人かを見て初めて文字通りの「顔面蒼白」を目撃した. 途中ハゲタカに遭遇する.ハゲタカ (Bald Eagle) ってネーミングのセンスはどうよと思ったが姿を見て納得した.しかしやっぱりハゲ呼ばわりは良くない.

気づいたこと

学会関係

GSA が選んだフェロー・評議員の中には何人か日本人の名前を見た

6300人超の参加者が集まる学会の国際交流は結構楽しい. →おっさんから「来年の発表も楽しみにしてるよ」とのダメ押し.ちょっと待ってまだ来年度の研究何するか決まってないんですけど

同時に各国毎のお財布事情も少なからず把握する.ビリオン単位の予算で地球外惑星の研究をする某大学・研究機関と、数千ドル単位のドローンの導入決定に三週間真剣に悩む某大学の懐の差を実感させられた

大学研究者に対して発表した1年上の先輩が来年度以降の入院オファーをもらう事案が発生.オタワとノバスコシア (ジョギンズ) で Paleoecology の研究をするのもなかなか良い話だと思う.

Associated Societies の中に日本地質学会の名前を見つけられず.
→ 日本からの参加者曰く「やっぱ言語がアレっすよね」確かに多くの日本人の登壇講演は残念ながら聞き取りにくかった (私も同類かもね).プレゼンに原稿の読み上げをそのまま載せるのはさすがに良くないです.今回の発表で反面教師的に学べるところは多い.
→ 別の日本人参加者曰く「アメリカでは地質学会というとそれだけでとても規模が大きい会議になるけど,日本だと地球科学の一分野として一括りにまとめられるから,規模もデカくないしあまり大きく扱われない.院も日本じゃないほうがいいよ」えーまじか
→ American Geophysical Union と American Association of Petroleum Geologists の常連が多い.先生他多数による証言によると、AGU の規模は GSA よりも大きいらしい.サンフランシスコで毎年カンファレンスを開くのだけど,大学の期末試験と重なっているので今まで行けていない.卒業してからの話になるかなあ…

地質学関連の研究・仕事に従事する女性は多い.ほぼ1:1の比率.少なくない数の女性が名誉職・上級職・評議員に選出されている.
→ 但しそれは欧米に限った話.アジア系の顔はほぼ全て男であった.日本人は女性一人がフェローに選ばれていたのを見た以外は一切すれ違わなかった.

ポスター発表

発表の準備は,言わなければならない論点だけを忘れなければ多少体裁が崩れても構わない.即興に対する度胸がある程度だいじ.プレゼンを一字一句覚えようとしてもうまくいかないし,途中の質問なりツッコミでペースを崩されると後のフォローアップが大変.

日本人であることも,アメリカに10年住んでいることも,あまり意識しすぎるとコンプレックスによる嫌悪に陥る可能性あり.自戒.

人が素通りするのは気にしない.プレゼンしながら相手にどう思われてるかも (プレゼンの間は) 気にしない.

地質学的な分野に興味がなくても,何か共通することがあれば出向いて話を聴いてみる.まだ知らないことがあっても許される学部生特権は多いに活用すること.実はこういうことに興味あるんですよと持ちかけた立ち話から,関連する研究室の紹介まで話を持っていけるとプロ.
→ e.g. 日本人だから日本人のポスターを回る,カリフォルニアに住んでたからヨセミテの地形学のポスターを見てみる,CGやってたから,地形・石の3Dモデルに対する取り組みを見てみる etc…

名刺は用意せよ.

登壇講演する場合,質問時間を効率よく使えるまとめ方がある
→ 結論で「何々がほげほげじゃなくてこうなのは…(理由)…だからです」と一つの長い文章でまとめると効率が悪いし,ディスカッションでその重要性がちゃんと評価してもらえない可能性がある.
→ 「何々はこうなんです」と書いた後、下部にちょこっと「ほげほげじゃない理由は質問時間で訊いてね」と書くとオーディエンスからの質問を誘導でき,かつ重要性を認識してもらえる.質問時間が用意されなくてもそのままスキップして,セッション終了後のトークのネタに回せる.なるほど!
→ 私が視聴したトークでは,結論の後に下部の質問を説明するスライドがさらに2,3枚用意されていた.これが想定の範囲内と言うやつか…

バンクーバー

アメリカへ行きたいという人はまずバンクーバーから試すべき
→ 街の雰囲気はアメリカのままで、あらゆる数値の単位変換を気にしないで済む

しかしバンクーバーの秋はお薦めできない.天候が不安定で港町なのでサンフランシスコ並みに寒い.雨季に突入しているので少なくとも晴れない.今回の日程でほとんど雨に降られなかったのは幸運だった.傘のおかげだ

自然を残して街を開発するという強い意志と努力があったのか,とてもうまい具合に両者の調和がとれている.

フランス語は町中では聞かない.

今まで歩いたどの北米の街よりも日本人の絶対数・比率が高かった (主観)

アメリカに毒された舌で語るのもアレだが,今回試した日本食は全て美味しかったです.日本っぽさを重視したお店から、東西フュージョンによる新しい味へ挑戦したお店まで,どれも私の好みでした.

物価が高い街トップ10という背景を踏まえて理解はできるが,それでもなおホームレスの数の多さには驚かざるをえない.金乞いの年齢がどの街よりも若い.